※ INCONELは、Special Metals Corporation の登録商標です。
※品質に関するすべての情報については保証致しかねます。ご注文の場合、別途仕様を取り決めた合意が必要となります。
ALLOY X-750は耐食性とともに高温度域での耐酸化性・引張強度に優れた析出硬化型のNi-Cr合金です。
本合金は特にバネ用途においてその効果を発揮し、高温域で使用されるバネには「時効処理」と呼ばれる熱処理を施すことによって、高強度でかつ耐へたり性,耐クリープ特性に優れた特性を示します。また冷間加工性にも優れた合金でもあります。
当該規格
ASTM | B-637 |
JIS | G4901、G4902 |
化学成分(%)
ALLOY X-750 | JIS | ASTM | ||
---|---|---|---|---|
C | 炭素 | Carbon | Max 0.08 | Max 0.08 |
Si | ケイ素 | Silicon | Max 0.50 | Max 0.50 |
Mn | マンガン | Manganese | Max 1.00 | Max 1.00 |
P | リン | Phosphorus | Max 0.030 | |
S | 硫黄 | Sulfur | Max 0.015 | Max 0.01 |
Ni | ニッケル | Nickel | Min 70.00 | Min 70.00 |
Cr | クロム | Chromium | 14.00~17.00 | 14.00~17.00 |
Fe | 鉄 | Iron | 5.00~9.00 | 5.00~9.00 |
Cu | 銅 | Copper | Max 0.50 | MMax 0.50 |
Al | アルミニウム | Aluminium | 0.40~1.00 | 0.40~1.00 |
TI | チタン | Titanium | 2.25~2.75 | 2.25~2.75 |
Nb+Ta | ニオブビウム+タンタル | Niobium+Tantal | 0.70~1.20 | |
Co | コバルト | Cobalt | Max 1.00 | |
Cb (Nb)+Ta |
コロンビウム (ニオブ)+タンタル |
Clumbium Niobium+Tantal |
0.70~1.20 |
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用途例
ALLOY X750は1944年に米国スペシャルメタルズ社からInconel Alloy X750として発表され、当初ガスタービンやジェットエンジン用に開発されました。
ALLOY X750が最も注目されることになったのはNASAによる人類初の月への有人飛行計画である「アポロ計画」です。
このときに開発された液体燃料多段式ロケット「Saturn V」に搭載されるF1ロケットエンジンは、その出力の大きさから推力室の再生冷却が一番の課題となっており、
燃焼室のチューブバンドルとマニホールドが熱で溶けないようにデザインする必要がありました。
スペシャルメタルズ社製のInconel Alloy X750がF1ロケットエンジンの心臓部である推力室と燃焼室、及びマニホールドに採用されました。
ALLOY X750は高温度域で優れた耐熱性、耐酸化性、耐食性、高破断強度からガスタービンのシャフト、タービンブレードを繋ぎとめる止めるピン及びガスケットに使用されております。
また様々な内燃機関に使用されるターボチャージャーのシャフトなどにも多く採用されております。
時効硬化により高温域で高強度と耐へたり性、耐クリープ特性の向上が図れ、自動車のエンジンの弁バネに使用されております。
物理的性質
密度(g/㎤) | 8.25 |
溶融温度(℃) | 1,393-1,427 |
比熱(J/kg・℃) | 0.103 |
比電気抵抗(μΩ・㎝) | 0.103 |
透磁率(21℃、200エルステッド) 熱間加工のまま |
1.002 |
透磁率(21℃、200エルステッド) 焼鈍・時効後 |
1.0035 |
縦弾性係数(X103kg/㎟) | 21.8 |
横弾性係数(X103kg/㎟) | 7.7 |
耐熱・耐食性
ALLOY X750は硝酸雰囲気以外では普通以上の耐食性を示します。
また、応力腐食割れに対し優れた特性を示します。ALLOY X750は耐熱性に優れており、室温から700℃までの温度域において、およそ1000N/mm2以上の引張強度が有することから、優れた高温強度性を有するとともに耐酸化特性を兼ね備えた合金と言えます。
耐食性
硫酸 | 塩酸 | 弗化水素酸 | 燐酸 | 硝酸 | 有機酸 | アルカリ類 | 塩類 | 海水 | 応力腐食割れ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
B | C | – | B | C | A | A | A | B | A |
A: 優良 B: 普通 C: 不可
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高温での性質(540℃)
耐酸化性 | A |
耐浸炭性 | A |
高温温度と安定性 | A |
A: 優良 B: 普通 C: 不可
弊社製造実施例
製造品目 | 線材 | 丸棒 | ||
取扱い品目 | 板 | 帯 | パイプ | 鍛造品 |
入手性:常時在庫有り、主に大同特殊鋼製の材料
機械的特性
引張強さ(N/㎟) | 伸び(%) | |
---|---|---|
BA上り 5.0~3.0Φ | 900~1,000N/㎟前後 | 15~30%前後 |
BA上り 2.0~1.0Φ | 1,000~1,450N/㎟前後 | 5~15%前後 |
(W)BA上り 0.5Φ | 1,000~1,500N/㎟前後 | 10%以下 |
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対応線径(弊社対応線径の一部)
※その他ご要望ございましたら、お問い合せ願います。
線径(Φ) | 線径公差 | 形状 | 仕様 | 単重(kg) | 梱包形態 |
---|---|---|---|---|---|
6.00 | 0,-0.05 | コイル | H材 | 10~100kg | 紙巻 |
5.00 | 0,-0.04 | コイル | H材 | 10~100kg | 紙巻 |
4.00 | 0,-0.04 | コイル | H材 | 10~100kg | 紙巻 |
3.00 | 0,-0.04 | コイル | H材 | 10~100kg | 紙巻 |
2.00 | 0,-0.03 | コイル | H材、BA材 | 10~100kg | 紙巻 |
1.00 | ±0.015 | コイル・ボビン | H材、BA材 | 10~30kg | 紙巻・段ボール箱詰め |
0.90 | ±0.015 | コイル・ボビン | H材 | 5~20kg | 紙巻・段ボール箱詰め |
0.80 | ±0.015 | コイル・ボビン | H材 | 5~20kg | 紙巻・段ボール箱詰め |
0.50 | ±0.010 | コイル・ボビン | H材、BA材、スキンパス | 1~20kg | 紙巻・段ボール箱詰め |
0.30 | ±0.008 | ボビン | H材、BA材、スキンパス | 1~5kg | 段ボール箱詰め |
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コイル径 (BA上り:熱処理上り)
※その他ご要望ございましたら、お問い合せ願います。
コイル径 | 線径 | コイル巻き方向 |
---|---|---|
550~650㎜ | 4.0~6.0Φ | 左巻き |
550~650㎜ | 1.4~4.0Φ | 右巻き、左巻き |
300~400㎜ | 1.0~2.0Φ | 左巻き |
400~500㎜ | 0.7~1.7Φ | 右巻き、左巻き |
300~600㎜ | 1.45Φ以上 | 左巻き |
300 | 1.45Φ以下 | 右巻き、左巻き |
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ボビン形状
ボビン名称 | 単重(kg) | 線径(Φ) |
---|---|---|
P5G | 1kg | 0.14~0.30Φ |
P1 | 2kg | 0.10~0.55Φ |
P3 | 3kg | 0.40~0.60Φ |
P5R | 5kg | 0.12~1.00Φ |
P10 | 10kg | 0.40~0.80Φ |
P30 | 20kg | 0.67~1.40Φ |
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ペールパック
ペールパック名称 | 単重(kg) | 線径(Φ) | サイズ |
---|---|---|---|
大 (硬材) | 10~15kg | 0.50~0.80Φ | 径:約50.0cm、高さ:約21.0㎝ |
小 (軟材・BA) | 10~15kg | 0.40~0.80Φ | 径:約28.0cm、高さ:約35.0㎝ |
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200kgパック
単重(kg) | 線径(Φ) | サイズ |
---|---|---|
軟材・BA 200kg | 1.00~1.30Φ | 径:約50.0cm、高さ:約80.0㎝ |
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